IBM PC での MS-DOS 採用の経緯の書かれた資料はいろいろありますが、 IBM の独占買取でなく、Microsoft が他へ売る権利を保持したままで DOS を提供する契約を結んだことそのものを評価したいと思います。 最初の DOS については、評価できる点は動くものを提供したことにつきます。
その後、Microsoft は一貫して platform provider という役割を果たしてきました。 DOS や Windows とともに、開発環境提供と開発者支援を行っています。 言語製品としての Microsoft Basic は欠陥も多いのですが、習得が比較的容易な ビジネスツールという視点では最強でした。新しいビジネスを PC で行う人が 増えていったのは、ソフトウェアを作りやすい platform であったからです。 今日でも、ソフトウェア開発者を支援する姿勢は変わっていません。
特殊市場向けソフトウェアや、汎用品でないソフトウェアの価格は高額です。 今日の OS の上で動くアプリですら数百万円なら安い方です。 それと比べたら Windows の価格なんて誤差に過ぎません。只同然と言ってもいい。 割安というのは、そういうニュアンスです。 ただし、今日では PC の構成部品における高額なもののひとつになっているので、 妥当な価格かは見解が分かれるでしょう。
Microsoft 社は、売り上げ規模からいうと、主要製品数が極めて少ないという特徴があります。 Bill Gates 氏が現役の頃、製品企画を事細かにチェックしていたというエピソードからも、 かつての製品体系は、氏の思想を色濃く表しているといってよいと思われます。
Bill Gates 氏は、Microsoft への毀誉褒貶を一身に受けてきたきらいはありますが、 今般引退されたことですし、計算機の近代史における正当な評価を受けるべき 時期であると思います。
Bill Gates (スコア:5, 興味深い)
推薦理由
1.ソフト主導によるビジネスを確立した。
2.サードパーティの集まりやすいビジネスモデルで雇用を生み出した。
3.標準化を進める戦略でユーザに高機能かつ割安なソフトウェアを提供した。
Re: (スコア:0)
> 1.ソフト主導によるビジネスを確立した。
確立したのはビルゲーツじゃないでしょう。
パソコンが生まれる前からソフト前提のハード選びなんて
あったし、MSのOS商売はCP/Mの後追い。
> 2.サードパーティの集まりやすいビジネスモデルで雇用を生み出した。
ビルゲーツの作ったMS-BASIC上では大した市場は形成されなかった。
MS-DOS上で各種アプリの市場が出来たのは、IBMから16bitマシン用の
OSを打診されたから。
IBMがMS以外からOSを調達していたら、全く違っていた。
最終的にWindowsみたいなOSを作っていた可能性はあるが、
デファクトスタンダードにはならなかったかも。
(MS-DOSで
Re:Bill Gates (スコア:0)
説明を補足してみます。
> 確立したのはビルゲーツじゃないでしょう。
> パソコンが生まれる前からソフト前提のハード選びなんて
> あったし、MSのOS商売はCP/Mの後追い。
CP/M や SCP-DOS を知らないわけではありませんし、
Bill Gates 氏が新しいものを発明したといっているわけでもありません。
ソフトウェアがハードウェアを売るためのおまけだった時代から、
使いたいソフトウェアを走らせるためにハードを選ぶ時代への転換に
氏が貢献したということです。
DOS の稼動実数を増やすことで、DOS 上で動くアプリも増えていき、
OEM 提供でのメーカとの交渉力にもなり、さらに DOS の利用が広がるという
正のフィードバックが働くエコシステムが作られました。
> MS-DOS上で各種アプリの市場が出来たのは、IBMから16bitマシン用の
> OSを打診されたから。
> IBMがMS以外からOSを調達していたら、全く違っていた。
IBM PC での MS-DOS 採用の経緯の書かれた資料はいろいろありますが、
IBM の独占買取でなく、Microsoft が他へ売る権利を保持したままで
DOS を提供する契約を結んだことそのものを評価したいと思います。
最初の DOS については、評価できる点は動くものを提供したことにつきます。
その後、Microsoft は一貫して platform provider という役割を果たしてきました。
DOS や Windows とともに、開発環境提供と開発者支援を行っています。
言語製品としての Microsoft Basic は欠陥も多いのですが、習得が比較的容易な
ビジネスツールという視点では最強でした。新しいビジネスを PC で行う人が
増えていったのは、ソフトウェアを作りやすい platform であったからです。
今日でも、ソフトウェア開発者を支援する姿勢は変わっていません。
> 標準化というかデファクトスタンダード化ね。
> でも、本人にしてみれば「オレの考えやMS製品が標準にならなければ
> ならない」の一言だと思う。
> 売り上げを最大にするため、企業経営者なら誰でも同じでしょ。
広まって支持されてこその標準規格です。
まっとうな経営者なら、売り上げよりは利益を重視します。
ビジネスは薄利多売とその逆の両極端のどこを落としどころにするかが肝ですが、
多少コピーされようが自社のソフトウェアを普及させることで明日のビジネスに
結びつけるという手法は Microsoft の platform 志向故ですね。
> 高機能も、必ずライバル製品があって、その製品より
> 優れたものを作るか、作れなければそのライバル会社を
> 買収して自社製品に追加してきただけ。
利用者が求めるものを作るのは当然だし、すべて自社開発である
必要もありません。買収を否定するのはよくわかりません。
すべて、魅力的な platform を提供するための仕事です。
> 割安については、MSが率先して値下げをやってきたという
> 記憶はない。
> 安いライバル製品か独禁法などの圧力がメインだよ。
特殊市場向けソフトウェアや、汎用品でないソフトウェアの価格は高額です。
今日の OS の上で動くアプリですら数百万円なら安い方です。
それと比べたら Windows の価格なんて誤差に過ぎません。只同然と言ってもいい。
割安というのは、そういうニュアンスです。
ただし、今日では PC の構成部品における高額なもののひとつになっているので、
妥当な価格かは見解が分かれるでしょう。
Microsoft 社は、売り上げ規模からいうと、主要製品数が極めて少ないという特徴があります。
Bill Gates 氏が現役の頃、製品企画を事細かにチェックしていたというエピソードからも、
かつての製品体系は、氏の思想を色濃く表しているといってよいと思われます。
Bill Gates 氏は、Microsoft への毀誉褒貶を一身に受けてきたきらいはありますが、
今般引退されたことですし、計算機の近代史における正当な評価を受けるべき
時期であると思います。
Re: (スコア:0)
コンピュター業界の発展やコンピュータ科学の発達や進歩に
貢献したように思えないな。
どう頑張っても経営の神様以上ではない。
コンピュータ業界の発展なら各種アプリの先祖を考え出した
人達(WebならXanaduのテッドネルソンというように)だろうし、
コンピュータ科学の発達ならメインフレームのIBMが
最初に出てくるけど、思想的に新しいものを作っていない
Bill Gatesってのは出てこないなぁ。
新しい考え方で商売をやったというもの無理があるよ。
薄利多売はPCの値段や購買層を考えたら避けられな
Re: (スコア:0)
>コンピュータ業界の規模拡大には貢献
もうひとつ、コンピュータ「ユーザ」(の数)の規模拡大にも貢献していますね。
つまりそれまであまり接点が無かったユーザと技術者の「間」を(金によって)繋いだんです彼は。
しかも恐らく二度と切れないであろうほどの太い太いパイプで。
それだけパソコン依存人間(や企業などなど)を世の中に大量に増やしてくれたぞと。
私も個人的にゲイツはいけ好かないけど、
彼が巻き起こしたこの太い流れが無ければ
今ここで飯食ってないであろうのも事実です。
確かに彼は何かを改質したりはしなかったのでしょう。
が、その何かの「規模」を大きくするという、量の転換は、かなり彼の所業だと言えると思います。
縁結びみたいなものですな。
もともと潜在的な需要&供給はあったのかも知れないけど、
それを繋ぐ切欠をくれた、と。
#円結びかどうかはともかく。