我々、あの地域の研究者にとっては「モルドヴァ」と言ったらルーマニアのモルドヴァ地方で、モルドヴァ共和国は「ベッサラビア」です。ところがベッサラビアが国名を「モルドヴァ共和国」としてしまったから話がややこしくなってしまったのです。先日 Wikipedia を見てのけ反りました。誰の仕業か知りませんが、本来のモルドヴァ公国と現在のモルドヴァ地方が「モルダヴィア」にされてしまっているのです。そして旧モルダヴィアがモルドヴァになっていまっている。しかし、本来のルーマニアのモルドヴァがモルダヴィアと呼ばれていたことは一度もありません。モルドヴァ共和国の現在の国名を尊重するならば、項目名を「モルドヴァ(共和国)」のようにし、旧モルドヴァ公国は「モルダヴィア公国」から「モルドヴァ公国」に戻し、本来の歴史的モルドヴァ本土は「モルドヴァ(地方)」とすべきだと思います。
日付限定で検索しても (スコア:0)
ニュースサイトの記事など、時々無視される(最新しか返さない)ようだ。
キーワードぴったりがヒットしないと、微妙にズレることも。
例えばモルドバ関係を探してるときにルーマニアの記事が出てきたり。
Re:日付限定で検索しても (スコア:4, 参考になる)
例えばモルドバ関係を探してるときにルーマニアの記事が出てきたり。
実はモルドヴァはルーマニアの方が本家本元なのです。現在のルーマニアは(ドラキュラのモデルとなったヴラド・ツェペシュが君主だった)旧ワラキア公国(現在のルーマニア南部。ムンテニア地方とオルテニア地方から構成される)と旧モルドヴァ公国(現在のルーマニア東部)と1920年にハンガリーから奪ったトランシルヴァニア地方(現在のルーマニア西部で、現在のルーマニアの領土のほぼ半分弱)から構成されています。(他にもブルガリアから奪ったドブルジャ地方やオーストリア帝国から奪った南ブコヴィナ地方等もありますが…。)
ルーマニアは元々1859年にワラキア公国とモルドヴァ公国が合邦してルーマニア公国となり、それまでワラキア公国の主要民族だったムンテニア人とオルテニア人とモルドヴァ公国のモルドヴァ人が新たにルーマニア人を名乗るようになったのでした。(ルーマニア人がかつてのダキア人とローマ人の混血から誕生したというダキア=ローマ史観はフィクションです。ワラキア人やモルドヴァ人が世界史に初めて登場するのは14世紀になってからです。)
モルドヴァ公国の東北部分のベッサラビア(つまり東北モルドヴァ)が1940年にソ連に併合され、ソ連は東北モルドヴァを「モルダヴィア・ソビエト社会主義共和国」と命名したのでした。なのでソ連が崩壊してモルダヴィアが独立するまでは、元々のモルドヴァ本土(旧公国、現在は地方名)がモルドヴァで、ソ連領はモルダヴィアと区別されていたのですが、モルダヴィアが独立し、公用語をルーマニア語のみにして、新たにルーマニア語でモルドヴァ共和国(ベッサラビア地方)を名乗るようになったので話がややこしくなってしまっているのです。
我々、あの地域の研究者にとっては「モルドヴァ」と言ったらルーマニアのモルドヴァ地方で、モルドヴァ共和国は「ベッサラビア」です。ところがベッサラビアが国名を「モルドヴァ共和国」としてしまったから話がややこしくなってしまったのです。先日 Wikipedia を見てのけ反りました。誰の仕業か知りませんが、本来のモルドヴァ公国と現在のモルドヴァ地方が「モルダヴィア」にされてしまっているのです。そして旧モルダヴィアがモルドヴァになっていまっている。しかし、本来のルーマニアのモルドヴァがモルダヴィアと呼ばれていたことは一度もありません。モルドヴァ共和国の現在の国名を尊重するならば、項目名を「モルドヴァ(共和国)」のようにし、旧モルドヴァ公国は「モルダヴィア公国」から「モルドヴァ公国」に戻し、本来の歴史的モルドヴァ本土は「モルドヴァ(地方)」とすべきだと思います。
実はモルドヴァ共和国は独立回復後は本土復帰、すなわちルーマニアと合邦して元に戻る気満々で国旗もルーマニア国旗に国章を付けたものにし、通貨もルーマニアと同じレイと改称しました。しかし、モルドヴァ共和国の大統領や首相たちはルーマニアに本土復帰したら、自分らは政治的権力を失い、ただの人になってしまうということに気付き、本土復帰を中止し、自分らはルーマニア人じゃない、モルドヴァ人だ、国の公用語はルーマニア語じゃない、モルドヴァ語だと主張し始めたのでした。尤もさすがにルーマニア語と全く同じ言葉をモルドヴァ語と呼ぶのには無理があるので、言語名だけは2013年にルーマニア語に戻しました。
ロシア・ウクライナ戦争が始まって国内のロシア人たちが勝手に沿ドニエストル共和国の独立宣言を出しているため、ロシア軍の軍事侵攻の危険が囁かれており、今は「こんなことならさっさと NATO 加盟国のルーマニアに本土復帰しておくんだった」と後悔しているかもしれませんね。
Re: (スコア:0)
参考になる話どうもです。
全部いっぺんには消化できないけど、機を見て読み直したいと思います。