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お金

相次ぐ研究費不正使用に対処法は? 184

ストーリー by mhatta
チェックを厳しくするしかないだろうねえ 部門より

研究者のハシクレ曰く、"研究費で投資信託を買っていた早稲田大の松本教授神頼みに使用した国立天文台教授など、最近科学者の研究費流用が大きな問題となっています。ライブドア問題などともつながるこれらのお金がらみの事件、お金に関わる人のモラルの問題と言ってしまってはそれまでですが、有効な対処法はどんなものが考えられるでしょうか。私のように研究サイドにいる人間にはわからない普通の方の観点から、忌憚の無いご意見を伺いたく思います。"

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  • 対策法 (スコア:5, 参考になる)

    by minato_nakazawa (18821) on 2006年07月12日 10時47分 (#976761) ホームページ 日記
    九州大学の矢原教授がblogで主張されている [hatena.ne.jp]ように,研究費の過度の「選択と集中」を止めて,もう少し平準化するのは,一つの有効な対策かと思います。
    「選択と集中」が進んだ背景には,矢原さんが言われるように世界レベルの研究を出すという国家戦略もあったでしょうが,また一方では,研究してない人には予算をあげないということで,非競争的な分配を減らして競争的資金を増やすという流れになったという面もあると思います。それはそれで尤もなのですが,競争的資金は当たるかどうかわからないため,どうしても外れる分を見込んで多めに申請しなくてはなりません。しかも科研費の申請は年に1度,秋にあって,当たったかどうかわかるのは翌年春,当たっても使えるようになるのは夏からで,年明け早々には1年目の報告書を書かねばなりません。全部当たってしまうと予算があるけれど時間や人手が足りないという状態になりがちなんではないでしょうか。
    さらに,大学や研究所自体がアクティビティの評価を受けるご時世なので,研究費の申請をどれくらいしているかということも大きなアクティビティの評価項目になるので,大学や研究所が個々の研究者に競争的研究費を多数申請するように奨励します。既に何らかの研究費が通っていてもさらに申請を出すようにと奨励される場合が多いでしょう。それも当たってしまうと首が回らなくなりそうです。
    審査制度上難しいのかもしれませんが,一律の年度設定をやめて,必要な時に必要な規模の研究を申請できるようにして,駄目な時は練り直して再申請できるようにしたら,多めに申請はしなくても良くなるのではないでしょうか。あとは施設のアクティビティ評価に申請件数を入れずに,実際に研究をした成果で評価するようにしたらいいのではないでしょうか。
    --
    Minato NAKAZAWA, Ph.D. Demographer, Human Ecologist
  • とりあえず (スコア:4, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2006年07月12日 9時33分 (#976682)
    ライブドアとは全く関係ないと思います
  • incentiveの分解 (スコア:4, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2006年07月12日 10時12分 (#976716)
    なぁに、incentiveを分解すれば解決策はすぐに見つかる。

    不正を行う正のincentiveとしては、
      (A) 経済:金銭的欲求
      (B) 制度:不正が発覚しにくいシステムになっていたこと

    不正を行う負のincentiveとしては
      (a) 道徳:不正はよくないという内なる理性
      (b) 罰則:万一発覚した場合のペナルティ

    が考えられる。
    では、順番に検討していこう。

    (A)については、アカポスの要職であれば十分に金銭を与えられているはずであり、
    その上で、もっと欲しい、もっともっと欲しい、と
    際限なくエスカレートしていくのは人間の弱さとしてはしょうがない面もあるが。
    残念ながらこの果て無き欲求を満たすほどの金銭は、
    社会のコスト負担という面から考えれば考えにくい。
    「不正を防ぐためのコスト」>「不正によって失われる損失」であれば、対策をする意味がないのだ。
    ゆえに、今回はこの要因には手を触れない。

    (B)であるが、
    これは研究者は不正をしないという前提のもとにたって監査を怠ったツケであるといえよう。
    これはただちに改善できる部分ではないだろうか。

    (a)についてはもはや言うまでも無いだろう。
    研究に従事する者の腐敗ぶりは現場の皆様が最も詳しいのではないだろうか。
    その上、教育や指導の成果は、若く、柔軟であるほど効果が見込めるが、
    いい年こいた大人に何を言っても馬耳東風、聞き流すだけで効果は期待できない。
    (a)の減少のみに頼った対策は、絵に描いた餅で終わると断言してよい。

    さて、即効性が見込まれるのは(b)である。
    特に(B)を下げることによって、不正を行えば必ず罰せられるという認識が広がり
    より高い効果が期待できる。
    ただし、実効性がなければ意味を持たない。
    罰則を決めたい上は、断固として実行する必要がある。

    以上から、必然的に結論は導かれるだろう。
    「放置した研究者は不正を行う」という前提のもとに厳しく監視し、
    わずかでも不正を行えば、直ちに鞭。
    事情があっても鞭。言い訳をしても鞭。またやったら、もっと、鞭。
    これこそが最高の解決策ということになる。
    知に携わる者にとってもっとも重要なのは、鞭の知、というわけだ。
    • Re:incentiveの分解 (スコア:2, 参考になる)

      by kimura (2954) on 2006年07月13日 1時59分 (#977347)
      ネタにマジレスですが

      >> 「不正を防ぐためのコスト」>「不正によって失われる損失」であれば、対策をする意味がないのだ。

      …と本気で考えるのが米国のシステムです.だから,不正防止の制度なんてのは最低限しか存在しない.その代わり,悪いことしたら,めちゃめちゃ罰せられる.もう実刑判決くらって刑務所とか入れられちゃうレベルで.

      逆に,日本のお役所的発想ってのは,上記の不等式がモロに成立する状況であっても「対策をすること自体が大事」って考え方ですね.しかも,それでも悪いことしちゃうヤツがいたような場合でも,予算の返納+ショボい罰則で許しちゃう.ま,それが日本の国民性ってことなんでしょう.

      こういうことを書くとフレームの元になるかもしれないけど,上記の違いは,BSE対策に関する考え方(「統計的に合理的だ」という米国の主張と,「全頭検査をするべきだ」という日本の主張)でも明らかですね.

      注:別にどちらの考え方が正しいとかいう話じゃなくて,「考え方が違うね」ってだけのヨタ話っす.
      親コメント
    • 最後の一行のための前振り、恐れ入りました
      --

      --- (´-`)。oO(平和な日常は私を鈍くする) ---
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  • 大学の場合 (スコア:3, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2006年07月12日 10時37分 (#976750)
    独立行政法人になったおかげで、最近ようやく使い切らなかった研究費は
    積み立てられるようになったんですが、それまでは年度末に意地でも使い
    切らないといけなかったので、リースできない高価な機材を買うためには、
    いろんな禁じ手を使うしかなかったそうです。
    だからこっそり貯めこんだり目的外の流用には多少同情の余地あり。

    でも私的流用はいかん。

    #身内が某大学研究室で予算のやりくりしているんでAC

  • by Anonymous Coward on 2006年07月12日 10時41分 (#976753)
    些末な額をもらってたことがあります。
    適当な領収書をそろえてでっちあげて払い戻してました。
    めんどくさい作業だったのに、なんでそんなことしてたんだろう。
    ・全体的に、お金が足りない。研究費と生活費が区別されないくらいにちっちゃいお金の枠の中でやりくりしてて、
     無駄遣いやぜいたくしてたわけでもないのに、やっぱりお金厳しい。
     娯楽ゼロとか、赤貧洗うごとしではなかったけど、そこまでの状態に追いやられたら研究どころじゃなくなるし。
     自分の場合研究できなくなると思う。期間が終わったら、借金が残りました。
    ・がんばってもお金増えない。怠けても減らない(けど、そんなんだったら研究やってる意味がない)
     そして副業禁止だから、他でがんばってお金増やすのもできない。
    ・費目の規定が細かい上に、現実に必要な出費をカバーできないような決まりになっている。ここのお金が一番必要なのに!ってところが対象外。
    ・研究費をもらう際に、現実的にどうしたらいいか、を誰も教えてくれなかった。
     決まりごとを決まりごとの文面で書いた書類はあったけど、現実的にどうすればいいか、初心者はどうすべきか、についてのノウハウがもらえなかった。

    長くなって申しわけない。細かいことは書くと身元が割れそうなので割愛することを許してほしい。
    もらっていたのは少額で、学生がもらう程度のお金で、辻褄合わせにいろいろでっち上げて、
    でっち上げの書類でお金を受け取ったことを恥ずかしく思っているけれど、実際には許される範囲内のことだったかもしれない。
    上に上がっているような事件とは比較にならないかもしれない。
    でも、税金からお金をもらったのに、嘘をつきました。程度は小さいかも知れないけれどごめんなさい。今はもう研究者じゃないです。

    思うに、
    ・現実的にどんな出費が補助を必要としているかを反映したルールにしてもらえば、いらない嘘はつかなくてすむ。
    ・お金を出す側も研究者側も、生活費と研究費とを切り分けやすいようにしたほうがいい。
     まとめて渡されたり、両者をアンバランスにして、実際には自分でそこらへん何とかしなさいね、というようにすると、嘘をつかなくてはならなくなる。
    ・現実に役立つガイドラインを用意してほしい。研究者の間から生まれてきてもいいと思う。
  • 知り合いのSI屋 (スコア:3, 参考になる)

    by gonta (11642) on 2006年07月12日 11時18分 (#976797) 日記
    主に大学にハードを納入している業者に知り合いがいます。研究費が余り気味になると、ハードを「購入した(ことにした)」という領収書を切り、予算消化に一役買う。で、翌年度に前年度と合わせて大きめの消費をしたりする、等手伝うことが多かったようです。

    大学により、見積り・請求の書類の手順やフォーマットが異なったり、消耗品の金額が異なるので、手間はかかるそうですが、逆に研究室から丸投げされるので、先生方には「よろしく」ですみ、受けが良かったようです。もちろん、その人は取引先のそういった手順はすべて把握してました。

    昔は、UNIX WSが1台300万とかしてたので、この方法を使って繰り越しをやっていました。しかし、昨今はPCが1ケタ万で買えてしまうし、大学によっては「消耗品扱い」で買えてしまうので、逆に妙な手間が増えたそうです。
    --
    -- gonta --
    "May Macintosh be with you"
    • by Anonymous Coward on 2006年07月12日 15時45分 (#977018)

      大学の中の人ですが、そういった伝票上の操作で貧乏研究室が予算のやりくりをすることは昔はよくありましたが、最近は審査が非常に厳しくなっていてそういうインチキはできなくなっています(特に大型予算を国からもらっているラボは)。

      予算の消費のためにお金を先に払っておいて、物は後から納品とか、逆に、納品だけ先にしてもらって予算がついてからお金を払うなんてことが全くできなくなりました。納品元の業者にまで査察が入って細かく調べられるので、最近の摘発の多発はチェックが非常に厳しくなったことによるのではないでしょうか?

      ただ予算の〆が3月で、次年度の予算がおりるのが5月以降なんて状態なので空白期間は非常に研究室の運営が厳しいです。この点は国になんとか改善して欲しいところです。

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  • by Anonymous Coward on 2006年07月12日 9時35分 (#976684)
    >ライブドア問題などともつながるこれらのお金がらみの事件

    もしかして"お金つながり"とか言い出す気?
  • 国立天文台 (スコア:2, すばらしい洞察)

    by maty (3877) on 2006年07月12日 9時52分 (#976698)
    この場合はただ単に金勘定が適当だっただけで、まぁ
    特殊な例ではないでしょうね、サラリーマンや自営業でも
    これ以上いろいろやりくりしてますよ

    なんだかかわいそうになりますねこの教授

    #「研究サイドにいる人間にはわからない普通の方の観点」
    #なんていってるのがまず異常だと思う
  • まあいいんじゃない? (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2006年07月12日 11時21分 (#976804)
    制度はがちがちに固めるけど、それではやりくり出来ないのは官も学もわかっているから、運用を柔軟に行いましょうというのが日本的な慣行です。だから、ときたま、柔軟になりすぎた事例が表面化するのは適切な自浄作用だと思います。根本的な解決は、日本の科学技術予算を100倍くらいにすることですがこれは不可能なので現状維持に賛成。
  • by nofuture (17983) on 2006年07月16日 23時09分 (#979684)
    大部分は院生旅費のようですが [asahi.com]、みんなそれをわかって議論してますか?
  • 単に (スコア:1, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2006年07月12日 9時57分 (#976705)
    収支報告書とか、そう言った類の書類チェックを厳しくして、罰則規定を設ければ済む話じゃないんですか?
    なんかそういうところがずさんな気がして仕方ないです。

    あと「研究サイドにいる人間にはわからない」という発言が出ちゃう限り、こういう事件って無くならないような気がします。
    • Re:単に (スコア:2, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2006年07月12日 18時47分 (#977125)
      タレコミに出てる事件の話とは離れて一般論で書きます.一般論だから,神頼みがどうこうとか,そういう話じゃないですよ.

      >> あと「研究サイドにいる人間にはわからない」という発言が出ちゃう限り、こういう事件って無くならないような気がします。

      気持ち的に半分くらいは同意です.同時に残りの半分の気持ちとして,研究予算に付く理不尽極まりないルールを何とかしない限り,こういう事件は無くならないような気がします.

      結局,今の制度のマインドは「研究を遂行して良い結果を得るための制度」じゃなくて,「ちょっとでも悪いことを考えたやつがいたら速攻で『違反だ!』と言えるように,研究効率はバリバリに落ちてもいいから,とにかく予算の使い方だけは縛る制度」なんですよね.だから「研究が進むうちに新しい機器が必要になったので,購入したら地雷踏んじゃってました」みたいなことが起こりうるわけです.で,なぜ研究の効率を落としてまで厳しい縛りを入れるかというと,予算元(多くの場合は役所ですね)は本来の意味での研究の成果には全く興味が無くて,単に「研究予算を適正に執行させた」という実績が欲しいだけだから,こういうことになっちゃうわけですね.その状況も,最近は改善されつつありますが.

      「研究者だからという甘えが~」とか言ってる連中は,大プロや国プロを並列で走らせたりしたこと無いんじゃないですかね?デカい予算を複数獲得してたりすると,場合によってはルールAとルールBを同時に守らなきゃいけなくなったりするわけで,制度を守るために時間のみならず予算そのものまでもが大量に浪費されている現実に「あぁ,無駄だなぁ」「勿体ないなぁ」と思っている研究者が非常に多いんじゃないかと思います.
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    • by power (11625) on 2006年07月12日 10時05分 (#976710) 日記
      >あと「研究サイドにいる人間にはわからない」という発言が出ちゃう限り、こういう事件って無くならないような気がします。
      そうですね。
      一般企業では「わからない」なんて言おうものなら「調べて来い」と返されるわけですから。
      仰るとおりだと思います。
      もし「そんな事務的なことは事務員がやるものだ」という恵まれた環境にいるのだったら「それでも概要を知っているのと知っていないのとでは雲泥の違いがあるので、知らないよりは知っていた方が良い」と返しますが(笑)
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    • by otiak (11469) on 2006年07月12日 11時17分 (#976795) 日記
      臆面も無くさらっと出てきちゃうのは問題ですよねぇ。

      タレコミからは「研究者は金銭について自己管理ができないけど、研究者ってそういうもんだから仕方ないよね許してね」っていう感じの雰囲気が透けて見えてしまう。
      研究者は普通じゃないって言うんだったら普通になる努力をすればいいだけの話。それとも研究者は普通の金銭管理ができなくても免罪されるとでも言うのだろうか。

      まともな研究者の皆さんに失礼だと思うし、よくもまぁ臆面もなくこういう書き方できるなぁとも思う。
      親コメント
  • 研究費が足りないところをなんとかして増やそうと図るのは理解できなくもないです。私的流用じゃなくて、投信なんかで膨らませた金を研究費に戻すならばO.K.ということにしてもいいんじゃないかと思います。

    もちろん、投資に失敗して研究費が減ったらその分研究規模は縮小ということで、リスクとリターンをはっきりさせること。元本割れしたら自腹で補填ってのならばいくらでもがんばってもらいましょう。
    #松本先生のIUPAC会長就任は予定通りなのかな?続報がないけど。
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長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds

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